小野会長の小論文を更新しました!

2013年06月10日 07:03

5月20日、NHKのクローズアップ現代ではスマートアグリが取り上げられた。オランダは日本に比べ農地面積は4割しかなく、農業人口は約20分の1、緯度も樺太の北部に相当し寒く日照時間も短く、決して農業に最適な気候とは言えない。パートタイムの人件費も時給2000円と高い。しかし、農業輸出額では世界第2位だという。具体的にはアメリカが1位で1188億ドル、2位のオランダは773億ドル、3位のドイツが667億ドルだ。日本は51位で僅か32億ドルということで、オランダの24分の1しか輸出できていない。完全に敗者になっている。
 
日本は畑さえ持っていれば国の減反政策で耕さなくてもカネが入るから工夫の必要が無い。こんなことをしている間に諸外国はITを使ってどんどん生産性を上げてきている。オランダの穀物自給率はわずか14%(2007年)しかない。つまり自給率を捨て安い農産物は輸入し、チーズなど高付加価値の農業に徹したところに成功の一因がある。戦争になったらどうするのかという言う人がいる。アメリカを含む世界中の国を敵にし、日本が経済封鎖をされたら北朝鮮と違い日本は生き残れない。日本のエネルギー自給率は4%しかなく、食料生産ができたとしても輸送する手段が無く、我々は死ぬしか無い。唯一生き残れる方法は平和に生きることだ。食糧自給率を上げようとする努力は無駄と言いたい。
 
オランダの成功を更に後押ししたのは、巨大なグリーンハウスだ。グリーンハウス内の湿度、温度、光はITにより徹底的に管理されている。これにより常に最高の環境を維持し、質の高い作物を効率よく栽培できる。害虫でさえ繁殖する前にその天敵の虫を放ち、農薬を使わずに駆除している。トマトやパプリカなど極めて効率的に生産をしている。
 
ITと言えば日本のお家芸だったはずで、日本ならもっと上手くできる。耕地面積はオランダよりはるかに広いし、減反政策で広大な耕作放棄地もある。しかも気候・日照時間等でもオランダより有利だ。現実問題では、農家が国からの補助金で生活できる「快適さ」が忘れられなくて、政治家が農業の生産性を上げる改革をしようとすると農家の猛反対に直面する。しかし、世界中で始まっている農業のIT化の流れは止まらない。アメリカやヨーロッパ、オーストラリアでは、ほとんどの農機にGPS受信機が搭載され、機械が自動的に肥料や農薬をまいているのだが、日本はそれができない。国際競争に敗れれば、保護政策で過酷で低収入で非効率な農業をいつまでも続けるか、消えていくかしかない。
 
2013年1月23日 - 玉川大学(東京都町田市)の渡辺博之教授は、LED光源を使って野菜を室内 栽培できる植物工場「サイ・テック・ファーム」を公開した。
http://matome.naver.jp/odai/2135907717107522601
渡辺教授はLEDを使った野菜栽培を20年間研究しており、野菜工場プロジェクトを推進している。そして2月1日より、LED農園産のリーフレタスの販売を開始した。ここでは1日600株のリーフレタスを生産していて、投資金額は5年後には回収できるとのこと。
 
このように日本にも技術があるのだから、国が支援し大規模に野菜工場を建設すれば、農業分野での国際競争力は飛躍的に向上する。これは農業生産者に高収入を約束するのである。農業だけでなく、高付加価値を生み出す産業を重点的にしかも大規模に投資すべきだ。その資金は刷った金でいい。日銀の金融緩和で資金供給量が2014年度末には270兆円にも達する予定なのだから、日本のあらゆる分野の国際競争力を高めるためにその刷ったお金を有効利用してもらいたい。そして低賃金で働く非効率分野の人を高賃金・高付加価値の職場に移して頂きたい。これを「IT文明の第一段階」と名付けよう。
 
第一段階が終わるのは、このような方法で、どんどんITやロボットが人の職場を奪っていってしまい、もはやいくら投資しても新しい職場を作るのは不可能になったときだ。職を奪われた人はどうすればよいのだろうか。それは「労働はロボットに、人は貴族に」の世界へと進めば良い。これが「IT文明の第二段階」だ。人が働かなくてもロボットが生産してくれるようになれば、国は余った労働力を公務員として雇い、人が望む職場を増やせばよい。プロスポーツ、芸術家、研究者等、今は一流でなければ給料がもらえないが、将来は二流でも三流でも国から給料を払ってもらえるようにすればよい。
 
ただし、優秀な人ほど給料は多くなるようにする。教師やコンサルタント、あらゆる種類のエンターテイメントも必要なら公務員にしてもよい。その方針であれば失業者は出ない。そうだとしても国際競争には勝ち続けなければならないことは忘れてはならない。そのためにもインセンティブとして優秀な人には高給を払う。いきなりお金を刷って大量の公務員を同賃金で雇い、その安定した生活に安住し努力を怠れば世界から取り残される。その微妙なバランスを保ちながら「労働はロボットに、人は貴族に」という理想社会、「IT文明の第二段階」へ移行しなければならない。
 

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