小野会長の小論文を更新しました!

2013年07月30日 08:04

消費税増税を凍結し金利が上がれば、日本経済は復活する
 
消費税増税をするかしないかの判断が9月にも行われるとされている。マスコミによれば国民は次の2つの選択肢の中の一つを選ぶのだそうだ。
①消費税増税を行い景気が悪化し税収も伸びない
②消費税増税を凍結すると金利が上がり景気が悪化する。
おかしな選択肢で、これでは日本には景気が悪くなる選択肢しかないということになる。増税してもしなくても景気が悪くなるのだが、どちらを選ぶかという馬鹿な質問だ。
消費税凍結なら、財政に関し国際的な信用を失うから国債が一斉に売り出され国債が暴落し、金利が上がり景気が悪くなるのだそうだ。暴落というと一体金利は何%上がると言いたいのか。国債暴落とはとても言えないかもしれないが、例えば金利が3%上がるとしよう。それは、今より3%高い金利でも融資を受けて設備投資をしたいと企業が言い出すことだ。また、住宅ローンが現状の3%増しでも家を建てたいと国民が言い出すことだ。それは大変な好景気の訪れを意味する。毎年給料が下がっている現状では夢のまた夢だ。地価がまだ下がり続け、しかも年金の不安もある状況を考えると尚更だ。アベノミクスの恩恵を受けていない多くの国民にとって消費税増税だけでいきなりそのような心変わりがあり得るわけがない。
南欧では財政不安からいきなり金利が上がったから、あれと同じことが日本でも起こると言っている人は経済を知らない人だ。南欧では国が通貨発行権を持っていないから政府が発行する国債の信認は赤字財政で一気に失われる。デフォルトの危険があるのだ。危ない会社にカネを貸すのと同じで、利子を余程高くしなければ貸す人はいない。
もし、その会社が国から特別に通貨発行権を与えられているとしたら話は別だろう。お金が足りなくなったら、社内の印刷機でいくらでも刷れるとしたら、100%間違いなくお金は返してもらえる。だから低い利子で貸しても大丈夫だ。日本はその立場にある。南欧で金利が上がったのは、限られたお金を政府と国民が奪い合いをしていて、政府が使いすぎると国民の使うお金が減ってくる。これがクラウンディングアウトと呼ばれる現象だ。日本はいくらでもお金を刷れるのだから、日銀がお金を刷り続けている限りそんなことは起こりえない。異次元の金融緩和をすると言っているのに、市場に資金不足を起こさせることはあり得ない。
金融機関が勝手に金利を上げて、誰も借り手がいなくなったらどうするかという質問があるかと思う。そうすれば、金融機関の存在価値が無くなる。金融機関の業務が国債を買って運用することだけなら、金融機関はいらない。日銀が政府と直接やりとりするだけで十分だ。金融機関は借り手がいなくなるまで金利を上げることはできない。そうであれば景気がよくなるまで金利は上げられない。だから②のように消費税増税を凍結するとすぐに金利が上がるということは起こりえない。消費税増税を凍結し、景気対策を十分行えば景気がよくなって、資金需要もでてくれば、当然金利も上がってくる。この順番だ。何らかの事情で突発的に銀行に資金が無くなって金利が上がるようなことがあれば、それは日銀が責任を持って資金を銀行に供給すべきである。
国債の投げ売りが始まったらどうするかという質問があるかもしれない。そのときは日銀が片っ端から買えばよいだけ。だけど売り出す金融機関にはリスクが伴う。国債を売った後、現金を得て何を買うのか。例えば銀行であれば国債を売り株を買えば自己資本比率が下がり、経営が危うくなる。第一株式保有比率は簡単には変えられない。大量に保有した株が下がって、苦労したバブル崩壊後の金融機関の悪夢は忘れられないだろう。そのまま現金で持っておくのは馬鹿馬鹿しい。利子がつかないから、それより国債で持っていた方がはるかによい。
いずれにせよ、十数年間需要不足に悩んでいる日本で、大規模な増税を行い更に需要を減らそうという馬鹿な政策は悪いに決まっている。十数年間も国民が景気に対して弱気な状態が続いているこの時期の大増税は、政府が考えているよりはるかに大きな経済の悪化を招くことを覚えておかねばならない。
 

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