小野会長の小論文を更新しました。(5/19版)

2014年06月01日 13:16

中国の悪知恵には、悪知恵で対抗せよ
 
中国の経済発展には目を見張るものがある。様々な悪知恵が働いており、フェアとはとても言えないところがたくさんある。日本経済の停滞は、国の借金を返したい、財政健全化は必要、財政規律は守らなければならないという潔癖すぎる道徳観が経済停滞を招いている。もし中国指導者が日本の経済運営を任されたら、真っ先に大規模財政拡大を行って経済を復活させるだろう。
 
それはともかくとして、尖閣は大丈夫だろうか。先日西沙諸島で中国が石油掘削作業を始めた。これはベトナム領土だとして、ベトナムの監視船が止めさそうと近づくと、中国艦船100隻が体当たりしたり放水したりして阻止した。艦船は130隻に増えた。しかも中国の艦船が2000トン級なのに対して、ベトナムの監視船は450トン級なのでかなわない。ベトナムでは反中デモが起き、暴動に発展し、しかも中国企業の焼き討ちをし、中国人の死者まで出た。しかし、経済圧力を中国が掛けたようで、ベトナムの抵抗もそこまでになるかもしれない。中国の悪知恵がまた成功したかも。
 
昔は他国の領土を侵略するには武器を使用し戦争で領土を奪った。今回のやり方で明かになったように、現代のしんりゃくには武器は必要ない。100隻の艦船で目的物を取り囲み武器を使わずそれを守れば、その実効支配ができ、やがて自国の領土になる。武器を使わない限り、武力攻撃を受けることはない。今回の成功をバネに次は同じ戦術で尖閣を奪いに来るのは明かだ。
 
日米安保があるから大丈夫だと誤解している人がいるかもしれないが、そんなもの役に立たない。日米安保が役立つのは軍事衝突があったとき、つまり有事の時だけだ。中国は軍事衝突は絶対に避ける。負けるに決まった戦争をやるわけがない。武力を使わずしても尖閣は取れる。今回使った130隻の艦船を尖閣に移動すればよいだけだ。オバマ大統領は中国に抗議するだろうがそんなもの何にも役に立たないことは明かだ。武力攻撃をしない中国艦船に対して、米軍も自衛隊も何もできない。対抗できるのは海上保安庁しかない。しかし、130隻(あるいはもっと大規模になる可能性はある)の中国艦船の接近に海上保安庁は対抗できるのか。もし対抗できなければ、尖閣は中国が実効支配し、そのうち中国領土となる。尖閣で成功したら、日本の島々を次々と「侵略」していくのは明かだ。小さな無人島でも、その周辺の海が自国の領海になるのだから、130隻の艦船の維持費は安いものだ。
 
この中国の新「侵略」計画に日本は対抗する準備ができているのだろうか。悪知恵には悪知恵で対抗するしかない。全国から廃船間近の船を改造してかき集め尖閣沖に集結させ、中国艦船の接近を人海戦術で阻止するしか方法はない。中国艦船の攻撃方法は武器を使わず、体当たりと放水だ。なんとこれが近代戦なのだ。中国艦船がそれで攻撃してくるなら、同じ方法で反撃するしかない。悪知恵には悪知恵で対抗するということだ。船を外国の船に体当たりさせるのは法律違反になる??そんなこと言ってる時じゃないでしょう。日本の領土が奪われようとしているのですよ。
 
日本の政治家は、中国の悪知恵をもっと学ぶべきだ。リーマンショックで深刻な不況となり日本のGDPは大きく減少した。輸出依存度が日本よりはるかに高い中国は4兆元(役56兆円)の大型景気対策で乗り切り、経済の落ち込みを防いだ。今からでも遅くない。日本も大規模景気対策をやるべきだ。そうすれば経済は一気に拡大し、その後の財政も急速に改善する。借金の問題もデフレ脱却も同時に解決するのだ。
 

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